私が現在知っている主要な聖書注解シリーズで、現在も刊行され続けているものです。ここでは、旧約・ヘブライ語聖書のシリーズで、英語で読めるものをあげています。
・Anchor Bible(AB)
Doubleday→Yale University Presssから出ているシリーズです。ものによっては、執筆者を変更して、新しい版が出版されている書もあります(例えば、イザヤ書、エレミヤ書、ルツ記など)。各書により、構成や注解のスタイル、関心にばらつきがありますが、このシリーズに共通して、各単元の冒頭に注解者の私訳が提示されます。外典・偽典の注解もあります。
・Hermeneia
Fortress Pressから出ているシリーズです。ドイツ語からの翻訳が多いですが、ものによっては英語での書き下ろしもあります。このシリーズは、本の体裁などが変わっているので、読みにくいと感じることもあります。
・JPS Torah Commentary、JPS Bible Commentary
米国・ユダヤ教保守派の団体ユダヤ出版協会(Jewish Publication Society)から出ているシリーズです。宗教史やオリエントの神話も触れつつ、ユダヤ教の伝統的な注解者の解釈にも言及しています。英語の本としては少し高いです。また、五書出版後はメギロートと呼ばれる5つの各書の注解やヨナ書の注解、ハフタラーと呼ばれるユダヤ教の五書とともに読まれる預言書の部分の抜粋の注解も出ています。
・Old Testament Library(OTL)
Westminster John Knox Pressより出版されているシリーズです。当初は、ドイツの有名な注解シリーズであるATD(Das Alte Testament Deutsch)の英訳を中心としていましたが、現在では英語の書き下ろしの注解へと変更されつつあります。例えば、出エジプト記がATDの英訳のNothによるものからChildsの書き下ろしのものへと更新されています。チャイルズの出エジプト記は邦訳があります。
・Word Biblical Commentary
いわゆる福音派の人たちの聖書注解です。このシリーズも、各単元の冒頭に注解者による訳文を示してくれます。英語の注解書としては珍しく、山室軍平や西村俊昭の書が参考文献として提示されている点も目につきました。
他にも、重要なもの・特色的なものとして、New Cambridge Bible Commentary、Historical Commentary on the Old Testament、Blackwell Bible Commentary、New Century Bible、Interpretation、The Forms of the Old Testament Literatureなど、まだまだあります。